2020.04.29
岩手の2組の作り手を、今回初めてご紹介します。
【小田中染工房】
20代の頃、人間国宝で染色工芸家の芹沢銈介氏に師事し、現在は岩手県紫波町で家業となる小田中染工房を営む、型染め作家の小田中耕一さん。
仕事は手ぬぐいなどの染織の他、カレンダーやポスター、書籍のグラフィックなど多岐に渡ります。
盛岡の銘菓「くるみクッキー」の箱に描かれた、印象的な文字と可愛い絵も小田中さんのデザイン。
見ればいつもほっこりして、甘くて優しい味わいが思い出されます。
漆器を包む布について考えていた時、小田中さんのところへ相談に伺ったのがご縁で、今回の企画展にご協力していただけることになりました。
「以前、浄法寺はよく通ったもんだよ」と気さくにお話ししてくださったり、惜しげもなく型紙を出して見せてくださったり。難題にも関わらず、いつもおおらかでチャーミングな対応に、救われてばかりいます。
ああ。作品からにじみ出るあの温かさと軽やかさは小田中さんの人柄そのものなんだなと感じました。
【箕ナオシ】
岩手県一戸町面岸(いちのへまち・おもぎし)で、箕(み)をつくる延原有紀(のぶはらゆき)さん。
箕とは、穀類を選別するための暮らしの道具です。
大分で竹工芸を学んだ後、箕にほれ込み岩手へ。
地域で一人だけとなってしまった箕職人の戸部定美さんから箕づくりを学びました。
山に入って材料を集め、皮を剥き、蒸して天日干し、ナイフで1本1本巾と厚みを整えて
編むところまで、一人で仕上げています。
「面岸の箕は、北上山地を巧みに活用する先人の知恵と技術がつまっている」
「箕をつくることは、山と生きることそのもの」
と延原さんは話します。
箕は地域によって材料や形が異なります。
面岸地区ではサルナシ、ヤナギ、サクラなどの樹皮で編まれていて、その独特な色と形が特徴です。
ザルと大きく違う点は、雑穀の小さな実が落ちないように隙間なく編まれていること。
その佇まいの美しさから、インテリアとして飾る方も少なくありません。
雑穀…と一口で言えど
小豆、ゴマ、そば、ヒエ、アワ、キビ、アマランサス、黒米、赤米など、たくさんの種類があります。
冷害でコメが育ちにくかった岩手では、古くから雑穀を栽培し主食としていました。
つぶつぶとした食感が楽しく、お米と一緒に炊くのはもちろん、粉にして団子をつくったりと、様々な雑穀料理が今も受け継がれています。
延原さんの工房におじゃますると、いつもおいしい雑穀料理を出してくれて
話せばいつも謙虚さが漂って、心が自然と安らぎます。
清浄な空気がいつもそこには流れているようです。
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