滴生舎

下塗りから上塗りまで浄法寺うるしにこだわる
毎日手にするものだから最高のものを

日々のうるし

オール浄法寺うるしで

幾度も塗り重ねられることで知られる漆塗りの工程ですが、滴生舎では、何も塗られていない無垢の木地にうるしを染み込ませる「木固め」と呼ばれる漆器製作の最初の工程から貴重な浄法寺うるしを使用しています。
実は、漆器製作においては、この木固めから続く下塗り、中塗りの工程で使われる漆の量が完成までに使用する漆の80〜90%に及びます。そのため、すべての工程で貴重で高価な国産うるしを使用する漆器製作工房は多くはありません。
しかし、浄法寺うるしの産地である浄法寺を拠点とする滴生舎では、地元で採られたうるしを使って漆器を製作するというこだわりを長年続けてきました。それは、国産うるしの生産7割を誇る浄法寺の漆文化を守り広めるためであり、浄法寺うるしを使った漆器こそが最も堅牢で美しいものだと信じているからです。

木固め 木固め

日々のうつわこそ、本物を

朝食のシンプルなお味噌汁、夕食の具沢山な豚汁など、日本人の食卓にはずっとお椀に盛られたお料理の姿がありました。そして、そうした毎日手にする、毎日口に触れるお椀の理想は、子供からお年寄りまですべての人が安心して扱え、何十年と長く使えるものだと思います。そう考えたとき、漆器を製作するつくり手の一人であるわたしたちは、丁寧な漆塗が施された堅牢なお椀の姿を想像します。これこそが滴生舎が手がける「日々のうるし」の本質です。 日常のなかで何の気兼ねなく使われる漆器。誰の日常にも溶け込むように寄り添う漆器。わたしたちは、そんな漆器の製作を目指し、日々を重ねてきました。木固めから上塗りまでを浄法寺うるしで塗り上げる滴生舎の漆器には、ぱっと目を引く華やかさはないかもしれません。ですが、毎日使われることで磨かれ、使い手の素顔を宿すかようなたたずまいへと変わっていきます。わたしたちが思う “漆器の完成”とは、使う人の手の中でたたずまいを持った姿です。 滴生舎の漆器が生きる場所はいつまでも「日常の食卓」にあると考えています。

滴生舎の浄法寺漆器ができるまで

滴生舎の漆器は、浄法寺漆器の伝統である「塗り重ね」と呼ばれる技法によって作られています。この「塗り重ね」とは文字通り、木地に漆を染み込ませ、その上から何度も研ぎと塗りを繰り返しながら仕上げていくものになります。完成まで多くの漆を必要とし、また時間も手間もかかる技法ですが、これによって浄法寺漆器は日々の器としての堅牢さを身にまとうのです。

木固め

木地に生漆をたっぷり浸み込ませる。伸縮を防ぎ、防水性の高い丈夫な漆器を作るために大事な作業です。

下塗り

精製した漆にベンガラを混ぜた下塗り用の漆を塗ります。

研磨

表面をなめらかにし漆の密着を良くするために、強度を高めるために、塗った後に耐水ペーパーや砥石等を使って研磨します。

中塗り

塗り重ねと研磨の作業を6回程繰り返し、浄法寺漆だけで層をつくります。

上塗り

浄法寺漆を自家精製し、ゴミやほこりをつけないように専用の上塗部屋で最後の塗りを行います。

お手入れの仕方

一番いいお手入れは日々使うことです。木の器は乾燥した環境が苦手です。使うことで漆と木に適度な湿気も与えられ良い状態が保たれます。

洗う

1 洗う

ほかの食器と分けて洗うと、傷がつきづらく長持ちします。汚れ落ちはよいので、基本は、ぬるま湯と手で十分です。ごはんなどこびりついたものは、水にしばらくつけてから、油ものなどは、やわらかいスポンジに洗剤をつけて洗います。洗剤は薄めたほうが、漆の塗面に負担がかかりません。

すすぐ

2 すすぐ

水かぬるま湯で洗い流します。

乾かす(拭く)

3 乾かす(拭く)

自然乾燥でも使用上、支障はありませんが、水垢対策としては布巾で拭くのが理想的です。

長くお使いいただくために

  • ・食洗機、電子レンジ、オーブンでのご使用はできません。
  • ・長時間水に浸けておくことは避けてください。割れ等がある場合、水がしみ込み故障が進みます。
  • ・紫外線に弱い為、直射日光が当たらない場所で保管して下さい