2013年から始まった「小さなまちの大きな挑戦」にのへブランド海外発信事業は、3年間の取り組みを踏まえ、二戸市の地域ブランドとしてより魅力を高めるために、背景(ストーリー)への共感づくりや、継続することで広がる人的ネットワークを最大限活用し日本の漆文化の発信、つながりの中で質に重きを置いた差別化による販路拡大等を事業の方向性として、海外発信事業2ndステージとして2016年も引き続き開催いたしました。
浄法寺塗の販路拡大に向け、ニューヨークの高級レストランやセレクトショップでの商談、漆と地酒のセミナー、展示会などを開催いたしました。
(Ⅰ)ニューヨーク日本食レストラン・セレクトショップとの商談(12月6日~9日)
<店舗開拓・個別打合せによるオーダー漆器の納品・浄法寺漆レクチャー>
ニューヨークの日本食レストランとの商談を行い、うち3社との成約・納品に至りました。商談にあたっては、実際に職人を伴い浄法寺漆の歴史や文化、塗りの工程なども丁寧に説明し、具体的な対応ができるかどうかについても綿密に打合せを行いました。また、現地コーディネーターを経由してどういった商品が提案できるか打合せを重ねて提案商品を作成したことから、スムーズな交渉をすることが出来たことも成約に至った大きな要因であると考えています。
また、今回成立した商品を「ニューヨークモデル」として、今後国内で展開することについても承諾いただけたことから、今後はこのブランド力を活かしていきたいと考えています。
【商談先】
(Ⅱ)浄法寺漆展示会の開催(12月7日~9日の3日間)
NYC EVENT SPACE Green Roomを会場として浄法寺漆展示会を開催しました。Nippon Club会員をはじめとする日本人コミュニティや、その他飲食関係者、美術関係者など幅広い層に漆器の素晴らしさを紹介することができました。
今回選定した会場は、通り側が一面ガラス窓になっており、外から展示会の様子を見ることができたことから、彫りや塗りの様子に足を止め、そこから実際に会場内へと入ってくる方も多く、一見の来訪客の獲得にも効果が現れていました。会場内では、漆掻きの映像を流していたことから、掻き~彫り~塗りの一連の流れの説明ができ、展示している漆器に説得力が増しているという感想も寄せられました。
(Ⅲ)浄法寺漆および浄法寺塗、日本酒についてのセミナー、実演(12月7日)
事前に現地の飲食店等へニーズマーケティング調査を実施したところ、店舗での利用形態について多くの質問があったことから、本セミナーにおいて、「実際に漆器を活用した演出方法」「漆器既納入先のシェフによる料理の盛り付けによる演出」「バーテンダーによる二戸の地酒と漆器の演出」「漆器を知るための塗りの実演」を開催することで利用形態のイメージをより膨らませるとともに漆器の導入についての動機付けを図ることを目的として開催しました。
浄法寺漆展示会とも連動し、セミナー内ではオリジナル漆器既納入店である2店(Ichimura at Brushstroke、Kyo Ya)と今回納品したAngel’s shareにご協力いただき、オリジナル漆器を用いた料理、お酒の紹介を実施しました。二戸で一貫して作られたもの同士の漆×酒のコラボレーションに多くの聴衆がうなずきながら耳を傾けながらご賞味いただきました。
参加者の1人からは、「浄法寺漆展示会では手にとり触れるだけだったが、セミナーや漆器を実際に用いた試食会を通じて、『浄法寺漆×地酒』の奥深さを堪能することができて非常に良かった」という感想を頂戴いたしました。
塗りと彫りの実演や漆器を活用した料理の盛り付けの演出などを行ったことで視覚から、実際に料理を味わうことで味覚から、また、漆の歴史を含めた背景や製造工程に関する説明を加えることで、五感で味わい深い理解につながるセミナーとなりました。