2015年10月6日(火)から同月9日(金)にかけて、岩手県二戸市の藤原淳市長を代表とする一行が今年もニューヨークを訪れ、「にのへシティフェア in ニューヨーク2015」を開催しました。
人口約2万8千人の二戸市は、国産漆の日本一の生産地であり、国内生産量の約7割を占めています。また、浄法寺漆は、良質な漆として知られ、世界遺産に登録されている京都鹿苑寺金閣、中尊寺金色堂、日光東照宮など、日本の代表的な文化財建造物の保存にも重要な役割を果たしています。
一方、地酒・南部美人は、県立自然公園折爪馬仙峡の伏流水を仕込み水とし、岩手オリジナル酒造好適米「ぎんおとめ」含め地元でとれた酒米を原料とするなど、豊かな自然の恵みを生かし、こだわりの酒造りを受け継いでいます。
今回もこれら二戸市が世界に誇る逸品や特産品、すなわち「にのへブランド」のブランド力向上を図るため、「にのへシティフェア in ニューヨーク2015」を開催しました。このフェアは、以下の4つのイベントから構成されています。
【イベント】
10月6日(火)18時30分から、日本クラブにおいて、オープニングレセプションが開催されました。このオープニングレセプションには、3年にわたる本事業でお世話になった政府・自治体関係者、岩手県人会、飲食店関係者、漆・美術関係者、日本酒関係者等が招待されました。2階のローズルームにおいて、漆及び日本酒セミナーとレセプションを実施し、7階のギャラリーでは、日本酒の試飲や、漆の実演・展示、特産品の紹介を行いました。会場には、昨年度以上に報道陣が多数詰めかけ、この「にのへシティフェア」に対する注目度の高さがうかがえました。
(日本クラブ:http://www.nipponclub.org/?lang=ja)
浄法寺漆×南部美人セミナーの様子
鏡開き(レセプション)
10月6日(火)から同月9日(金)の各日、正午から午後5時(最終日は午後3時)まで日本クラブ7階のギャラリーにおいて、浄法寺塗の展覧会を行うとともに特別販売を行いました。会場には、漆の採取方法や漆塗りの作業工程を説明するコーナーも設けられ、来場者は、漆職人の説明を興味深く聞き入っていました。
浄法寺塗の展示及び販売
漆掻きに使用する道具等も展示
来場者に対して丁寧にレクチャーを実施
10月8日(木)19時から21時まで、展覧会会場と同じ場所(日本クラブ7階ギャラリー)において、浄法寺漆に関するレクチャーを行いました。レクチャーでは、漆掻き・漆塗りの実演及び浄法寺塗で味わう日本酒の試飲会を行いました。漆器の良さを伝えるためには、実際に使ってもらうことが必要であるという今年のコンセプトのもと、実際に浄法寺塗のお猪口で南部美人を飲んでいただく機会も設けました。
漆職人からのレクチャーでは、原料の調達から商品まで、同じ場所で一環して製作できるのは二戸市浄法寺だけであること、漆器は、修理(補修や塗り直し等)ができるため一生ものである(決して使い捨てではない)こと、自然塗料なので身体に安全安心であること等が話され、来場者から高い関心が寄せられました。
来場者に、酒関係者及び漆職人のレクチャーを近い距離で聞いていただくことで、会場はアットホームな一体感に包まれ、質疑応答も大いに盛り上がりました。有料イベントとして開催した当該イベントでしたが、定員を上回る数の来場者が訪れ、急遽席を増設するなど大盛況でした。
漆器と日本酒の相性についてレクチャー
漆掻き体験
浄法寺塗のレクチャー
実際に浄法寺漆器を利用して試飲
10月6日(火)から同月9日(金)までの間、ニューヨークを代表する高級日本食レストラン等において、浄法寺漆の食器を使っていただくプロモーションを実施しました。対象レストランでは、二戸市長訪問によるトップセールスを行なったほか、レストランオーナーやシェフ等に対し、漆職人により、直接漆器の良さや取扱い方法を説明しました。そして、これまでの3年間のフェアの実績が功を奏し、浄法寺漆器を使用していただける店舗は、以下のとおり5店舗となりました。
高級日本食レストランにてトップセールス及び浄法寺漆器のミニレクチャーを実施
地域産業の活性化を図るため、世界の中心と言われるニューヨークに「にのへブランド」を売り出し、行政と民間企業がタイアップして一昨年から始まったこの事業ですが、最終年となる今年は、集大成に相応しく、全てのイベントが成功裏に終わりました。特に、ニューヨークの高級日本食レストラン等において、浄法寺塗が使われるようになったことは、大変意義深いものです。また、日本から持参した浄法寺塗は概ね売り切れ、浄法寺塗の質の高さと実用性が、ここニューヨークにおいても高く評価されていることを実感することができました。
二戸市の3カ年事業は今年度で一旦完結となりますが、今後もニューヨークの日本料理店への漆器プロモーション等は、継続実施の予定です。藤原二戸市長は、来年度以降も海外市場の販路拡大を目指し取り組む意向を示しており、官と民が一体となったこの取り組みは、さらなる進化を遂げそうです。当事務所としても、今後の二戸市の取り組みについて興味深く見守り、かつ、引き続き支援をしていきたいと思います。
Japan Local Government Center(CLAIR,New York)
松田耕一所長補佐(岩手県派遣)
http://www.jlgc.org/ja/