2019.10.23
6月から始まった漆掻きも、そろそろ終わりに近づいて、、
2019年10月20日
第41回『浄法寺漆 共進会』がめでたく開催されました!
突然ですが、はじめまして。
今回初めてブログをつづらせていただきます、塗り部屋のUです。
去年浄法寺に移住して、2年目。まだまだ勉強不足で拙い文章ですが、どうぞお付き合いください。
それではさっそく、先日行われた浄法寺漆共進会について。
--<じょうぼうじうるし きょうしんかい>----------
漆掻き職人が集まり
その年に一滴一滴大切に集めた、これぞという漆を樽で出品
浄法寺漆に長年関わりのある専門家によって表彰される
年に一度の生漆(木から採取したままのうるし)の品評会です
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国産漆は採取する時期によって質が変わるとされ、
初(はつ)・盛(さかり)・末(すえ)の3部門に分けられています。
今年は30数名が参加し、総勢87樽が一堂に並べられました。
誰が採取したものか分からないように番号で表されています。
漆掻き職人は、早朝から夕方まで森に入り
天気をうかがいながら1本1本の木と向き合っています。
単独で動いていることがほとんどなので、
ベテランの職人や研修生が集まるこのような機会は貴重。
ともにすすむと書く「共進会」の名の通り、競い合ったり評価をもらうことが目的ではなく
一緒に意識と技術を高めあって、発展していこうといった気合いが背景に感じられます。
私たち、滴生舎の塗師も毎年お手伝いさせていただいています。
会場の出入りは自由で、全国からこの日のために来てくださる方も。
ぐるりと見渡すと業種や世代を超えた様々な顔ぶれで
挨拶を交わしたり、質問をしたり。
会場は緊張というより活き活きとした雰囲気です。
蓋紙をひらいて、のぞいてみると、ふわり漆の豊かな表情が。
「酸味のあるチョコレートみたいな香りがする」 「色が違っていておもしろいね」
近くで見学されている方からも色々な声が聞こえてきます。
漆の性格や顔つきは、人間と同じように
育った環境、生まれもった素質によって左右されます。
また同じ木でも、その年の気候、傷のつけ方、掻き方、仕立て方、道具の扱い、保存方法によっても微妙に変化していきます。
評価の基準には、色や香り・粘り・のびのよさ・沈殿物・乾きなどがあり、部門ごとの特徴にあったものが賞に選ばれるようです。
実のところ目視だけではわからない点もあります。
塗りの現場では、乾きをチェックしたり実際に使ってみて、性質を見極めながら仕事をすすめていかなければいけません。
原料となる生きものに寄り添うこと。
多くの人に支えられて成り立っていること。
難しさをかみしめて、修行の日々は続きます。
なんとも奥深い漆の世界。
興味のある方は是非、来年のぞいてみてはいかがでしょうか。
今年もみんなでぱちり。
漆掻きの仕事は、最後の傷となる裏目漆と呼ばれるものや
掻き終わった木の伐採作業へと続きます。
どうかお怪我などありませんように、無事を祈りつつ。
ひとまず、おつかれさまでした。
塗り部屋 U
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