2022.08.31
滴生舎は天台寺(てんだいじ)の麓に在ります。
この天台寺は地元の人々からは「おやま」と呼び親しまれ、このエリア自体の住所も御山(おやま・おんやま)となっています。
そもそも周りを山々に囲まれた地域の中で、とりわけここを「御」をつけた山としている特別感。信仰が自然と人とを繋ぐ存在だったことを想像できる素敵な名前です。
かつての「浄法寺塗り」は、安比側流域で分業して仕上げられ、天台寺の市日などで世に伝わっていきました。
地域で作り上げ、人々に大事にされてきた器と、その器が巣立った場所「御山」。
今この場所でお椀を作って売っているというのは、ずーっと昔の誰かから繋がってきたご縁なんだな、と、たまに思い出す昔話。いわゆる伝承で物作りをしているわけではありませんが、ルーツっていうのは忘れたくないものですよね。
その「おやま」の名前をいただいたのが「おやま椀」です。
「おやま椀」の形は、滴生舎に商品を並べる他の作り手と共有しているデザインです。なので、定番の朱や溜の商品でも、タイミングによって違う作者だったり、あるいは数量限定の特別デザインで仕上がったおやま椀が出てきたり。
形のデザインを担当してくれたのは浄法寺漆器工芸企業組合の岩舘巧さん。
お父様の岩舘隆さんが作り続けてきたロングセラー商品を毎日塗りあげる巧さん。シンプルなものほどデザインは難しいと承知の上で取り組んでくれました。
※岩館巧さんについて↓
2022.04.19ブログ おわん展の作り手 〜岩舘巧さん〜
おやま椀の優しい丸みは持ち心地がよく、縁のつくリは程よい厚みで口当たりなめらか。私個人も愛用しています。シンプルだからこそ、使うほどにその個性がじわりと感じられるお椀です。
現在オンラインショップでは浄法寺漆器工芸企業組合のおやま椀をアップしています。
また、2週間後に控えている松屋銀座のイベント「銀座・手仕事直売所」でもおやま椀を出品予定です。
イベント情報↓ 銀座・手仕事直売所
●第14回 銀座・手仕事直売所
期間:2022年9月13日(火) – 9月19日(祝・月)
場所:松屋銀座 8階イベントスクエア
このイベントは様々な素材のジャンルの作り手が出店するので、私たちも毎年楽しみにしています。
ご都合がつく方は是非覗きにいらしてくださいね。
記 思いはせがちM
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